ドローンで外壁タイルの調査点検?

コラム

見た目としては全然綺麗なのに、足場が組まれて、大規模修繕工事が始まったマンションを見かけたことないですか?
そのマンションは、もしかすると「12条点検」のために、足場を組まなければならず、足場を組むなら大規模修繕工事を実施した方がよいと判断してその時期を決めたのかもしれません。

この「12条点検」というのは、建築基準法第12条に定められる建築物の定期報告義務のことで、エレベーターや防災などの設備や、外装材の定期的な調査点検を実施し報告するもので、外装材の調査点検に関しては、竣工または前回の全面打診調査から10年を超えた最初の調査で全面打診調査が必要とされています。

外壁タイルの全面打診はどうやってやるの?

外壁タイルの打診検査は、点検者が打診棒でタイル全面を擦ってその音でタイルの浮きを調査するのですが、全面打診が必要な場合は、マンションの外周に足場を組むか、屋上からゴンドラを吊って調査することになります。
10年という周期が大規模修繕工事の周期と近いことから、「点検」の事情で大規模修繕工事の時期が決められてしまうということがあるようです。

打診棒での調査に代えて、赤外線を照射して温度差を測り、それによってタイル等の浮きの有無や程度を調査することが可能です。
しかし、赤外線を照射する角度に限界があり、この方法を全面打診に代えて採用できるのは、低層のマンションの一部に限られていました。

しかし、ドローンの登場によって、大きく状況が変わりそうです。

ドローンの調査は、全面打診に代えられるの?

ドローンに赤外線装置を搭載させ、マンションの外壁を全面的に調査することが技術的に可能になりました。

当然足場を組む必要はなく、低コストで調査をすることができるので、12条点検の外壁全面打診と大規模修繕工事を同時に実施する必要がなくなるのです。

2022年4月に、国土交通省は、ドローンによる赤外線を使った調査方法についてテストハンマーを使った打診と同等以上の精度を有するものを明確化し、ガイドラインを出しました。

タイルの浮きだけでなく、画像により、ひび割れ、エフロレッセンスも確認することができ、シーリングについても、触診はできませんが、硬化による割れを発見することができるそうです。

そうなると、例えば1回目の大規模修繕工事なら、補修が必要な箇所も限定的な場合も多いので、ドローンの調査で特定した箇所だけゴンドラを吊って補修作業をすれば、足場を組むことさえ必要なくなる可能性も出てくるでしょう。

どんなマンションでもドローンで調査できる?

すべてのマンションでドローンを使えるわけではありません。

隣の建物との隙間が数mしかないような場所ではドローンを飛ばすことができませんし、電柱や電線、街路樹などが近接している場所も難しい場合があります。

また、ドローンに限らずですが、赤外線の調査に不向きなタイルがあります。例えば材質の大きく違うタイルがランダムに配列されているモザイクタイルなどは、温度差を測る精度が落ちてしまう場合があるそうです。

それから、ドローンと赤外線特有の留意点として、天候によっては予定日に実施ができない場合がありますので、あらかじめ複数の調査候補日を設けておくなどの準備が必要です。

もしドローンによる調査が可能であれば、費用節減の効果はとても大きいと思いますので、是非検討することをお勧めします。

<管理組合応援団 団長>

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