2022年12月16日に与党から令和5年度税制改正大綱が公表されました。
団長の率直な感想としては、だいぶ対象が絞られてしまったなという印象です。
2022年8月に国土交通省の税制改正要望の受けて与党内で検討がなされた結果です。
今後、この税制改正法律案が年明け以降に国会に提出され、3月下旬までに可決・成立という流れとなります。
与党が公表した税制改正大綱よりも、国土交通省が同日に公表した税制改正要望の結果概要の資料の方が、細かい条件が示されているので、そちらので説明します。

これによると、「一定の要件を満たし、長寿命化に資する大規模修繕工事を行った翌年の建物部分の固定資産税を1/6~1/2(基本は1/3)の範囲で条例で定めた額を減額する」というものです。
まず、一定の要件というのが、
- 築後20年以上が経過している10戸以上のマンション
- 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施
- 長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保
積立金を一定以上に引き上げ、「管理計画の認定」を取得していること等(※)
(※)地方公共団体の助言・指導を受けて適切に長期修繕計画の見直し等をした場合も対象
この3つの要件を全て満たす必要がありますが、3つ目が重要で、その後に掲載された国土交通省のチラシによると、修繕積立金の積立額(月額)について管理計画認定基準未満だったものを、認定基準以上に引き上げて管理計画の認定を取得したことが条件となっています。
つまり、もともと修繕積立金の金額が適正だったので、引き上げる必要なく管理計画の認定を取得したマンションは対象外ということになります。
国土交通省の意図としては、修繕積立金が不足して適切な修繕ができないマンションを是正したい、という狙いを反映するために対象を絞ったということなのでしょう。
そして、工事の期間は、令和5年4月1日から令和7年3月31日の2年間に工事が完了したものだけが対象です。
通常12~15年とされている周期の工事を、この2年間だけに限定されると、対象はかなり絞られてしまうのではないかと思います。制度運営上の都合なのかもしれませんが、もし、減税の対象となるために、工事の時期を前倒しにするようなことがあれば、本末転倒でしょう。
この減税措置は、管理計画認定制度の申請の後押しになるのでは?と期待をしておりましたが、この条件ですと対象がかなり絞られてしまいますので、減税の対象になればラッキーくらいな気持ちで構えておくのがよさそうですね。
<管理組合応援団 団長>