管理計画認定制度って何?

コラム

2022年から地方自治体がマンションの管理状況を認定する制度が始まります。
これにより何が変わり、管理組合にどんな影響があるのでしょうか。

管理計画認定制度は何故導入されることになったの?

新制度を一言で言えば、国(地方自治体)がマンションのスラム化や管理不全を防ぎ、日本のマンションの管理状況を底上げするための制度です。

2020年1月に滋賀県野洲市の廃墟となったマンションが行政代執行によって解体されたニュースは、かなりのインパクトをもって伝えられました。報道によると、3階建て9戸の分譲マンションの解体には1億円を超える費用がかかり、その7割は回収の見通しが立っていないそうです。
この野洲市のマンションのような管理不全に陥る前に、各自治体が指導、勧告ができるというガイドラインが管理計画認定制度と同時に発表されたため、各メディアから混同して伝えられていましたが、指導・勧告するための現状把握は、管理計画認定制度とは別に、各自治体が制定する届出制度によって把握するとされています。

東京都は、管理計画認定制度に先立って、「管理状況届出制度」を条例で定め、管理不全の発生確率の高い一定以上の築年数のマンションに届出を義務付け、届出をしないマンションには督促をするという方法で、管理不全の芽を摘もうとしています。

つまり、管理計画認定制度は、管理状況の全体的な底上げが主目的となっているといえるでしょう。

この制度は、管理組合から申請を受けて調査を実施して、「認定」を受けるという仕組みですが、認定されたマンションを購入する際にフラット35の金利が優遇されることと、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」の借入金利優遇というメリットがあります。
以下2022年9月追記
国交省は、2023年度税制改正要望に、管理計画認定制度の認定を受けたマンションの翌年の固定資産税を3分の1減額することを盛り込みました。新築マンションはフラット35の金利優遇措置によって予備認定の申し込みをするのが一般化してきましたが、固定資産税の減額は既存マンションに対しても大きなインセンティブになるでしょう。

チェックされるのは、どんな項目で、どんな基準?

調査項目は、

  1. 管理組合の運営
  2. 管理規約
  3. 管理組合の経理
  4. 長期修繕計画の作成と見直し
  5. その他

の5つのカテゴリーで17項目となっています。
認定ラインがそこそこ高いと感じる項目は、4.長期修繕計画の作成と見直しです。

  • 長期修繕計画が指定の様式に準拠して作成され、総会の決議されている
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われている
  • 長期修繕計画の計画期間が30年超で2回の大規模修繕工事が含まれている
  • 修繕積立金計画で一時的な徴収を予定していない
  • 計画期間の修繕積立金(平均月額)が著しく低額でない

特に修繕積立金の金額については、国土交通省が公表する修繕積立金ガイドラインが基準となっているので、チェックしておきましょう。このガイドラインで示されるレンジの下限値を下回っている場合は、マンション管理士などの専門家にその設定が適切であるという理由を付言してもらう必要があります。

これらの項目が認定されるかどうか、微妙だった場合は、マンション管理センターが「管理計画認定手続支援サービス」というステップを用意しているので、あらかじめそこで認定されることがほぼ確信できてから、各自治体に申請をするというプロセスがお勧めです。
具体的には「管理計画認定制度の具体的手続きは?」で紹介します。

民間でも管理状況を評価する制度がある?

どちらかというと、マンション管理業協会が同じく2022年から導入を予定している「マンション管理適正評価制度」の方が管理組合の皆さんは気にすべき対象だと思います。

この制度は、国(地方自治体)の認定制度よりもチェック項目が多く、5つのカテゴリーで30のチェック項目が用意されているようです。そして、国の認定制度が「認定 or 不認定」の判定であるのに対して、こちらの制度は6段階評価になるようです。
また、評価の有効期間についても、国の制度が5年であるのに対して、こちらは1年ですので、より柔軟で実効性の高い制度になりそうです。

管理組合も、トップランクになるように改善努力をするならば、前向きな活動を後押しする評価制度になるポテンシャルを持っていると思います。

ただし、この制度は管理会社の元締めであるマンション管理業協会が基準を決めて採点するので、管理会社目線での「よい管理」が基準であることは認識しておくべきでしょう。
管理組合目線では、住み心地の良さや、良質なコミュニティが形成されていることの価値をもっと積極的に評価してもらいたいと感じると思いますが、予定されているチェック項目も見ると、財務の健全性や維持修繕の実施状況、計画状況などが評価の中心となります。

「マンション管理適正評価制度」の他にも、既にある損害保険会社がマンションの管理を評価する仕組みを導入している事例があります。管理組合が加入する損害保険の保険料が、そのマンションの管理状況が良ければ安くなる仕組みになっています。この評価は「マンション管理適正診断サービス」といって、日本マンション管理士連合会と連携しており、管理組合の実利と直接結びついているところは良いのですが、まだ特定の損害保険会社の仕組みにとどまっています。

以上の2つの民間の制度と、国(地方自治体)の制度である「管理計画認定制度」との重複や管理組合の負担を考慮して、この2つのどちらかの制度の申請と管理計画認定制度の申請プロセスの一部を同時にすることができます。どうせ認定を申請するなら民間の制度のどちらかと一緒に申請することを検討されるとよいと思います。

評価によって、中古市場価格に影響を与える?

「マンションは管理を買え」という言葉は昔からありました。管理の良し悪しが、マンションの住み心地に大きく影響することは誰しもが実感するところです。しかし、これまでは管理状況が流通価格に反映されることはほとんどなかったのは何故でしょうか。マンションは管理が大事だとわかっていても、これまでは中古物件の管理状況を客観的に評価する物差しがなかったため、よほど他と違うところがなければ仲介する不動産業者もコメントしにくかったのだと思います。

「マンション管理適正評価制度」は、マンション管理業協会に加盟する管理会社が窓口となって評価を実施するので、全国のマンションで一斉に同じ基準で評価を受けることが実現可能になりますので、その評価ランクが流通市場において重要なチェック項目となってくるのではないでしょうか。
流通市場に影響があるとなれば、管理組合が評価ランクを上げるモチベーションとなり、日本のマンション管理の底上げにつながるような良い連関が生まれることを期待しています。

<管理組合応援団 団長>

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