マンションのDXは何から始める?

コラム

世の中では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が流行していますが、マンションの管理組合にもDXの波が押し寄せていますね。

ただマンションの現状でいうと、いわゆる革新的なDXというより、「デジタル化」が進み始めたという表現の方がしっくりくるかもしれません。

では、マンションのデジタル化は、何から始めたらよいのでしょうか。

マンションのデジタル化は、5つの領域で考える

マンションのデジタル化は、大きく分けて以下の5つの領域があります。

  1. 理事会や総会、住民説明会のオンライン開催
  2. 理事会のグループチャット
  3. 住民向けオンライン掲示板
  4. 共用施設のオンライン予約
  5. 管理組合の書類のデジタルライブラリ

まず、1.の理事会や総会、住民説明会のオンライン開催は、コロナ禍によってこの1、2年でかなりハードルが下がってきたのではないでしょうか。

当サイトでも、規約や区分所有法、最新のガイドラインに則した開催方法について「総会や理事会をWEB会議で実施できる?」と「オンライン理事会の始め方」の記事で解説していますので、ご参照ください。

次に、2.の理事会のグループチャットについては、LINEやFacebookなど一般に普及率の高いSNSで、グループを毎年作成し、理事会の事前相談や事後フォローなどに活用する方法があります。この場合、メールでもやりとりは可能ですが、手軽さや意見の言いやすさなど、心理的ハードルが下がる点は見逃せません。

一方で、3.住民向けのオンライン掲示板については、一般のSNSを利用しているケースはほとんど聞きません。SNSのグループに入って、面倒なアカウント管理や住民向け連絡事項をポスト(掲示)してくれる管理会社はほとんどないでしょう。
そのため、マンションが全戸一括で契約をしているISP(インターネットサービスプロバイダー)が、マンションの住民向けに提供している専用サービスがある場合は、有力な選択肢となるでしょう。ISPのアカウント管理を管理会社が請け負っている場合は、住民への連絡事項をポスト(掲示)するなど、管理会社に運営をサポートしてもらえることもあるでしょう。

マンションの住民は、管理組合関連の情報をいつも気にしてチェックするような人はまれですので、少なくとも2.~5.の機能は一つのサービスに集約すべきでしょう。

管理組合向けオンラインサービス比較

以下は、2.~5.の機能を装備した管理組合向けオンラインサービスです。団長の個人的見解で、特徴をまとめてみました。

(1)【Mcloud】by つなぐネットコミュニケーションズ

全戸一括マンションISP市場のシェアトップのプロバイダーが提供するサービス。
ISPの付帯サービスとしてではなく、独立したサービスとして十分なクォリティと優れたユーザビリティだと思います。
オプションで数多くマンションの設備と連携できる機能まで拡張ができるハイエンドのサービスですが、フリープランもありますので、まずは試してみることから始めてみるのもよいと思います。

(2)【CYBER HOME】by ファミリーネット・ジャパン

全戸一括マンションISP市場でNo.2のシェアのプロバイダーが提供するサービス。
ISPの付帯サービスであり、基本は無料(施設予約機能のみ有料)。
Mcloudのようなユーザビリティや拡張性はないものの、基本的な機能は装備されているので、ISPでCYBER HOMEを利用しているマンションは、まず第一候補となるでしょう。
ITに強い理事が退任すると、そこで利用が途絶えてしまうことの多い管理組合の弱点をよく理解した「IT理事」というサービスもあります。

(3)【住まいサポートネット】by ラージヒル

大和ライフネクストとの協業で開発されたサービスで、大和ライフネクストが管理会社となっているマンションであれば、問題なく導入できますが、その他の管理会社の場合は、運用の支援を受けられるかどうか確認が必要になります。
地域の情報発信(不動産情報やスーパーのチラシ、お店のクーポン、天気予報など)を受けられることから、住民が普段からよく利用されるサービスになる可能性があります。
ユーザビリティに優れていて、連携するスマホのアプリもあります。

(4)【COLLABO】by ディグアウト

ISPや管理会社と関係のない独立したサービスとして、2007年にローンチされ、現在までしっかりと顧客から支持されているサービス。
名前の通り、住民同士のコラボレーションが生まれやすい設計となっていることが、他社のサービスにない特徴。
単なる便利な機能だけではなく、マンションの良質なコミュニティ形成に大きな役割が期待できる。

本当は重要なデジタルライブラリ

これまで2.~5.までの機能を揃えたサービスを紹介しましたが、フル機能までは必要ないし、そもそも住民の活用が期待できない、というマンションでも、是非検討していただきたいのが5.のデジタルライブラリです。

現状、管理組合の資料が「紙」でしか残っていない場合は、できるだけ早くデータ化する習慣を取り入れることをお勧めします。設計図書などは、大規模修繕工事の計画や見積もりに必要になりますし、大規模修繕工事の実施記録も、次の修繕計画の際の貴重な情報となります。これらがきちんと整理され、必要な時にすぐに手にすることができる状態が、今後は標準的な管理レベルとして求められてくるでしょう。

5.の機能だけを見た時にお勧めなのが、公益財団法人マンション管理センターが提供する【マンションみらいネット】です。
こちらのサービスはデータストレージとして見ると、容量無制限で年間2万円という料金は格安といえます。また、紙の書類をセンターに送れば、無料でPDF化してくれますので、数10年の資料をデータ化するケースなどは、かなりのコスト抑制になるでしょう。

多くのマンションの管理組合の資料が公開されて、他のマンションとの比較もできる時代になれば、マンション購入予定者が購入前に管理状況を把握することができ、流通価格にも適切に反映されるようになり、ひいては日本のマンション全体の管理状況の底上げにつながる、その唯一のプラットフォームとなることがマンションみらいネットの本来の目的です。
現在は、まだプラットフォームと呼べるほどの登録数ではないので、「本来の目的」はさておき、デジタルライブラリとしては、優秀な機能があり、一般の民間サービスよりも事業継続性とセキュリティ面での安心感はあると思いますので、ご検討ください。

<管理組合応援団 団長>

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