修繕積立金の不足していたり、管理費会計が赤字になるなど、このままでは管理費や修繕積立金の値上げが必須。値上以外に収入を増やす方法はないものかと悩んでいらっしゃいませんか?
マンションの管理組合も、その共用部分を活用して外部から収入を得ることは可能です。その代表例を2つご紹介します。
駐車場の空き区画を外部に貸し出す
平置き駐車場で、マンションのセキュリティゲートの外にある駐車場であれば、比較的外部貸しのハードルは低いと思います。
セキュリティゲートの外にある機械式駐車場の場合は、地上階の区画でしたら外部貸しの可能性はありますが、空き区画になりやすい機械操作が必要な区画は、よほど駐車場需要の強い場所でなければ、借り手を見つけるのは簡単ではないでしょう。
一般の月極の駐車場と同様に、近隣の不動産業者に広告・客付け・管理を委託する方法と、丸ごとサブリースする方法がありますが、後者の方が収入は低くなりますが、空室リスクはなくなります(不動産業者が頑張っても借り手が見込めないような場所でしたら、サブリース契約を結ぶのも難しい場合はあります)。
サブリース先は、月極駐車場運営、コインパーキング運営会社、カーシェアリング運営会社などがありますので、それぞれ見積もりをとって比較検討するとよいでしょう。
また、最近は、コインパーキングのような機器を設置しないスペースシェアリングのサービスもありますので、いくつかの選択肢の中で、その場所でもっとも需要のある方法を選ぶことをお勧めします。
空き区画の駐車場を外部貸しにする際に留意点
管理組合は、区分所有者や占有者から共用施設の使用料を徴収する場合は、管理費や修繕積立金収入と同様に、所得税など税金がかかることはありませんが、マンション外から収入を得る場合は、法人税法上は「人格のない社団等の収益事業」とされ、公益法人等と同様な税金がかかります。
具体的には、法人税、法人住民税、事業税、消費税(収益事業収入が1000万円を超える場合)などになります。
基本的には収入以上の税金を納めることはないので、既存の住民向け駐車区画を外部向けにする場合、経費もほとんどかからないとすれば、赤字にはならないと考えていいのですが、以下の2点に注意しなければなりません。
ひとつは、新たに発生する固定費です。それまで収益事業がなかった管理組合は、あらたに税金計算と税務申告が必要ですので、税理士報酬が発生します。報酬金額は概ね年間8~10万円程度みておく必要があります。また、法人住民税の均等割りは地域差はありますが、7万円程度が固定費として発生します。
もし、なかなか借り手がつかず、わずかな収入しか出なかった場合に、これらを差し引くと赤字になるというケースもありえますので、ある程度借り手が見込めそうなことを確認してからスタートするのがよいでしょう。
また、収益事業を始めた時は、2か月以内に収益事業開始を所轄の税務署と都道府県税事務所に届け出なければいけませんので、税理士とは事業開始の段階から相談を始めましょう。
もうひとつは、外部へ駐車場を貸し出す条件です。もし、マンション住民へ貸し出す条件と外部へ貸し出す条件に差がないと判断された場合は、住民へ貸し出す部分も含めて駐車場収入全体を収益事業とみなされてしまいます。
その場合、外部からの収入以上の税金が課されることも十分にあり得ますので、住民への貸し出しが明確に優先されている条件で設定することが重要です。
この点についても、条件が整っていることを税理士に事前に確認してもらう必要があるでしょう。
屋上を携帯電話の基地局に利用する場合は?
街を歩いていて、ビルやマンションの屋上に数本の縦棒がついているアンテナらしきらしきものが設置されているのを見かけることがありませんか?
それは、携帯電話の基地局で、これにが街中に張り巡らされていることによって、携帯電話をストレスなく利用できるのです。
通信会社が建物のオーナーから屋上のスペースを借りて、基地局を設置させてもらっているので、建物オーナーには通信会社から利用料が得られます。
多くの場合、管理組合に通信会社から設置依頼があってから、設置が可能か確認をとり、理事会で検討し、総会で決議を取ります。
共用部分(屋上など)に多少の工事をするのと、意匠面も多少の影響がありますが、一般的には特別決議(共用部分の大幅な変更)は必要なく、普通決議で足りるとされています。
携帯電話の基地局については、駐車場の外部貸し出しよりも確実に収益が見込めますので、管理組合の財政面にとってはとてもありがたい話にはなりますが、これだけ世の中に携帯電話が普及をしていても、電磁波によって健康を害するという考え方の人もいらっしゃることもありますので、丁寧に手続きを進めることをお勧めします。
その他に収入を得ている例はある?
これまでにご紹介した2つの例以外では、自動販売機の設置や、屋上に看板広告を設置する例もありますが、前者は期待収益が小さいということ、後者は高速道路や幹線道路沿いなど、場所が限られることとなどの理由であまり例はありません。
また、屋上に太陽光パネルを設置して売電事業を営んでいる強者の管理組合もあるようですが、巨大な設備ですから、その導入は特別決議になりますし、構造上の問題、設置工事の騒音問題、初期投資資金の問題、修繕費や更新・撤去費用の問題など、いくつもの高いハードルを乗り越えなりません。
そのほか、大規模マンションなどでは、充実した共用施設があるので、住民の使用頻度がそれほど高くない場合は、外部への貸し出しを検討される場合もありますが、多くの施設はセキュリティゲートの内側にあるので、安全面から初期の検討段階でNGとなることが多いようです。
<管理組合応援団 団長>