EV充電設備、導入費と維持費をゼロにできる?

駐車場関連

既存マンションで新たにEV充電設備を設置しようと検討した場合、管理組合独特の多数決の壁が立ちはだかります。

多くのマンションでは、一部の住人しかメリットを受けないことに対して管理組合が新たに費用を使う提案は、たとえそれが少額であっても賛同を得るのは、簡単ではありません。

導入に賛同してもらうには?

少し先を見据えれば、世界中で起きているEV化の流れは明らかですし、今後もEV充電設備は要望され続け、その設備があるマンションは、流通市場でプラス評価される時代が来るかもしれないと、頭では理解していても、EVを所有していない区分所有者が大半の現状では、過半数の賛成を得るのは、なかなか難しいでしょう。

総会の多数決による決議方式は、目先の便益の公平性が重視されやすい傾向にあります。未来を見据え、補助金があるならその活用も含めて総合的に判断できるのが理想ですが、現実にはそのような管理組合は多くはありません。

この分譲マンションの意思決定の特徴を良く理解して、大胆なサービスを展開している会社があります。

導入費もゼロ、維持費もゼロのサービス

EVベンチャー企業のテラモーターズは、EV充電設備の導入費も維持費も管理組合の負担がゼロとなるプランを掲げて事業展開を始めています。

テラモーターズは、2010年設立の日本企業ですが、設立後すぐに海外で事業展開をして成功している希少な会社です。同社によると、インドのEV3輪においては販売数でトップシェアなのだそうです。海外で事業基盤を築いた後、満を持して2022年に日本のEV充電インフラ市場に参入しました。

マンション総合EXPO2022 テラモーターズの展示ブース

創業者の徳重会長がマンション総合EXPO2022のセミナーで語っていましたが、日本においてEVの普及を加速させるには、家庭での充電(基礎充電)設備の普及が重要であり、さらにその中でも分譲マンションで充電設備を設置しようとすると、合意形成の困難さに直面するとして、同社のサービス設計に反映したそうです。

このビジネスモデルは、リース契約した充電設備の利用者が支払う充電料金を受け取り、充電に使用した電気料金相当を管理組合に戻し、残った利用差益をテラモーターズが受け取ることによって、初期費用を長期に亘って少しずつ回収していくモデルです。
このモデルは、充電設備の導入に補助金が出ることが前提ですので、将来、補助金が出なくなれば、初期費用の管理組合負担をゼロにするのは難しくなるでしょう。あくまで政府・自治体がEV普及に補助金を出す今だからこそ提供できるサービスだと思います。
また、管理組合にリースされる充電設備は、維持費用がほとんどかからないコンセントタイプのものですので、ご自身のマンションはコンセントタイプが適しているかをご確認ください。コンセントタイプが適しているか、普通充電器が適しているかは、「EV充電器の設置を要望されたら?」の記事をご参考にしてください。

マンション総合EXPO2022 テラモーターズの展示ブース

これまでに、「EVの普及がもっとすすんでから再検討しましょう」と先送りした管理組合も、このテラモーターズのサービスなら、今の段階でも再検討する価値はあると思います。

普通充電器でも導入費、月額管理料ゼロのプランが登場

電気とガスのかんたん比較で有名なエネチェンジが、同社のEV充電サービスでマンション向けの新しいプランを2022年11月に発表しました。

これまで普通充電器は、機器代金だけで1台50万円前後しますので、導入時に公的補助を活用しても、どうしても数十万円の管理組合負担が発生してしまいました。
今回、エネチェンジは、専用の普通充電器の導入費も月額利用料も管理組合負担がゼロとなるプランを発表しました。

こちらもテラモーターズのサービスと同様に、リース形式になりますので、機器のメンテナンスや更新は、事業者側の責任になり、管理組合に維持コストの心配はいらない一方で、利用差益は事業者が受け取ります。

エネチェンジ サービス説明資料より

導入、維持費ゼロが前提でしたら、個々の車室に専用の充電器を設置するならコンセントタイプで、テラモーターズのサービスを利用、共用の充電スペースを複数の利用者で共同利用する普通充電タイプならエネチェンジのサービスを利用するという選択ができるということですね。
ただし、このマンションゼロプランは利用条件があり、

  • 40台以上の駐車場があること
  • 住民だけでなく(来訪者など)マンション関係者も利用可能な共有駐車場が設置できること
  • 2台の充電器の設置

ということなので、実際は、大規模マンションでないとなかなかこの条件は満たせないかもしれません。

いずれも、公的補助金が厚くでる今だからこそ利用できるサービスなので、このタイミングに是非一度ご検討いただければと思います。

<管理組合応援団 団長>