駐車場は空きが目立ってきたのに、駐輪場が足りない状況が続いているマンションは多いと思います。
駐輪場の数が足りていないと、区画に入りきらない自転車が駐輪場に乱雑に置かれたり、共用廊下などに自転車を持ち込む住民もでてくるなど、いろいろとトラブルが拡大していく場合があります。
この問題に、何か解決方法はあるのでしょうか?
アプローチは2つ
どちらも決定的な解決方法とはいえませんが、多少の改善にはなることがあります。
- 駐輪できる場所を増やす
- 稼働していない区画の見直し
少しでもやれることはやる、という気持ちで臨んでください。
駐輪できる場所を増やすには?
駐輪場の1段目は、スライドレール式ですか?2段式にはなっていますか?
まず、現状の駐輪場が、固定式の駐輪スタンド、あるいはスタンドもない平置きの駐輪スペースでしたら、スライドレール式に変えると、同じ面積でも収容力がアップします。
さらには、2段式にすると平置きに比べて収容台数は倍増するでしょう。
ただし、これらにはデメリットもそれなりにあります。
- スライドレール式は、自転車同士が常にぶつかるので、かごやハンドルについているベルなどが破損することがあります。
- 車体が重く横幅も大きい電動式ママチャリは、下段でもスライドがスムーズにいかず、出し入れに苦労することも多いでしょう。
- 2段式の場合は、子供の力では上段区画を使うのは難しかったり、電動自転車などは大人でも上段を使うのは苦労します。
- 平置きから変更する場合は、設置工事はそれなりの値段になりますので、自転車を使わない方に賛同してもらうのは簡単ではありません。
既に、2段式で下段はスライドレールの駐輪場でしたら、それ以上収容力をアップするのは難しいので、どこかに駐輪できる場所を探すという話になります。
一つは、駐車場の空き区画が増えているなら、その一部を駐輪スペースに用途変更する。貯水槽式から水道管直結方式に変えたので、貯水槽があった場所を駐輪スペースにする変更できるケースもあります。
これらが可能となるのは幸運なマンションで、大抵の場合、駐輪スペースの拡張は難しいと思います。
稼働していない区画の見直す
まず、駐輪代金が無料のところは、月額数百円など少額でもよいので、有料化することをお勧めします。これは、管理組合の収入を増やすことが主目的ではなく、ほぼ使われずに置きっ放しとなっている自転車をあぶりだすことができます。
また、既に引っ越した住人が放置していった、など所有者不明の自転車がでてきたら、その処分を考えましょう。
この時に注意しなければならないのが、適切な手順を踏むことです。
いくら、住民の所有物でない自転車が、私有地に長期間放置されていたとしても、それだけで管理組合が「処分」していいことにはなりません。
処分した後に、その自転車の持ち主が現れたら、損害賠償を請求される可能性がありますので、以下の手順で慎重に処理をしましょう。
- 所有者不明の自転車があることを全住民と全区分所有者に通知
- 一定期間後(例えば1ヵ月)、所有者が判明しない場合、警察へ届出
- 警察で防犯登録記録などにより所有者が判明すれば、警察の指示通りに処置。
- 警察でも所有者が判明しなかった場合は、遺失物として届出し、警察が公告。公告から3ヵ月経過しても所有者が現れなかった場合、管理組合が所有者となるので、処分する。
ただし、この4.の手順は、現実には相談する警察署によって対応がまちまちなようなので、遺失物法で定められている「警察署長が公告して3ヵ月」という要件を正確に満たすことができない場合もあるようです。
その場合は、一定のリスクは覚悟して処分せざるを得ません。マンション内での十分な通知と、警察への届け出、一定期間警告書を貼り付けて保管した事実をきちんと記録して、総会で決議をとってから処分するようにしましょう。
築年数に応じて様子を見てみる
駐輪スペースの拡張することも難しく、稼働していない区画の見直しをしても、解決しない場合は、あきらめるしかないのでしょうか?
マンション総合調査によると、新築~築8年までは、いわゆる子育て世代の世帯主(30歳代、40歳代)が60%弱を占めていますが、築9年~築18年になると、その割合は4割弱まで減り、更に10年経つと15%程度まで低下します。
自転車を所有し活用する子育て世代は、経年によって着実に減っていくので、「時間が解決してくれる」ことに期待するのは消極的に聞こえますが、もっとも適切な判断という場合もありますね。
<管理組合応援団 団長>