マンションで必要な防災備蓄は?

マンションの防災

管理組合が住民のために何らかの備蓄をしてくれているのでは?とお考えの方がいらっしゃったら、是非ご家庭の防災備蓄について一度見直しをしてください。

もし管理組合で全住戸分の備蓄を用意するとなると、保管場所や使用・賞味期限の管理を管理組合が責任を持ち、多額の費用が管理費で支払われることになります。
それを避けて管理組合では食料品や日用品の備蓄はしないと決めているマンションが多いのではないでしょうか。

管理組合は、災害時に住民が共通で利用できるものや、住民を救出・救護するための機材を備えておき、食料品や日用品の備蓄は各家庭で責任持つという役割分担が基本でしょう。

防災リュックは必要?

防災グッズと言えば、防災頭巾と防災リュックが思い浮かぶのではないでしょうか。

結論から申し上げると、マンションでは防災リュックが活躍するシーンは非常に限られていると思います。
戸建ての住民と違い、マンション住民は、倒壊するほどの被害がない限りは、在宅避難が基本となりますので、防災グッズを持ち出して避難することはあまり想定しないでよいと思います。マンションに留まって避難生活を送る場合、家族全員が必要とする食料品や日用品の備蓄は防災リュックには入りません。使うとすると、被災時にだけ使うものを入れておく袋として活用できるかもしれません。

では、食料品や日用品はどうするか。普段も使うものを多めにストックしておき、先入先出で食料品の賞味期限内で消費していく「ローリングストック」がお勧めです。被災時は、ただでさえ心身に大きなストレスがかかりますので、普段食べ慣れたもので食事のストレスはできるだけ小さくしたいですね。

何日分の備蓄が必要?

備蓄の量は、「最低3日分できれば7日分」の食料品や日用品が求められています。
大規模な災害が発生すると、救援物資が届くまでは「自助」で生き延びなければなりません。場合によっては1週間から10日以上救援物資が届かないことも十分考えられます。近い将来予想されている首都直下型地震や南海トラフ大地震では、これまでに経験のない甚大な被害が想定されていますので、「最低3日分」よりも一日でも多く備蓄することををお勧めします。

一日分の消費・使用量を知る

以下は、1人当たり、一日の消費・使用量です。

備蓄品1人1日分の備蓄量備考
飲料水3リットル普段からミネラルウォーターを使っている方は、ローリングストックをしましょう。かさばるので、保管場所の確保が重要です。
生活用水15リットルバスタブが200リットルほどですので、普段からお風呂の残り湯は捨てないようにしましょう。※15リットルはトイレ排水は含まれません。
食料品1600~1800kcalまずは、冷蔵庫の中にあるものから。お米、乾麺、スパゲティなど主食となるものは、ローリングストックで。おかずとなる缶詰やレトルト食品もなるべく普段食べているものを少し多めに買っておきましょう。ビタミン不足対策には野菜ジュースが有効です。
携帯トイレ5回分防臭力の高いものがお勧めです。必ず用意しましょう。
トイレットペーパー0.2ロール南海トラフ大地震の際には、トイレットペーパー不足が長期化する可能性が大きいので、多めのストックが望まれます。

飲料水は、4人家族で7日間なら84リットル!必要になります。自宅が高層階であるか、ハザードマップ、災害時給水ステーションからの距離などを考慮して何日分備えべきかを一度ご家族で検討されるとよいと思います。

食料品については、まず冷蔵庫にある食材を優先して使い切りましょう。主食と缶詰やレトルト食品についても、基本はローリングストックで。ただし、1日分くらいは、何も加工や調理をせずに食べられるものがあると被災直後は助かります。

携帯トイレの重要性は、「トイレから防災を考え始める」で詳しくお伝えしていますので、そちらを参考にしてください。

トイレットペーパーは、家族4人で7日分でも4~6ロール程度とされていますが、7日分といわず、もっと多くストックしておくと安心です。
日本の製紙工場は静岡県に集中していますので、南海トラフ大地震が起きた時のことを考えると、1ヵ月分くらいはストックしておきたいものです。

災害時に備えておきたいもの

食料品や日用品以外では、以下のものは是非備えておくことをお勧めします。

備蓄品備考
カセットコンロ、ガス缶電気、ガス、水道のライフラインの中で、通常最も復旧が遅いのがガスですので、避難生活では大変活躍します。普段からカセットコンロを使う料理を定番メニューのひとつにしておくと、ガス缶のストックも切らさなくなりますね。
乾電池単3乾電池が最も汎用性が高いので、電池を使う製品は、可能な限り「単3」で統一して、単3乾電池はローリングストックにしておきましょう。
ランタンキャンプに行かない人でも、最近はインテリアやエクステリアとして置いておけるデザインのものも増えていますので、いくつか持っていると安心です。
ラジオ停電と携帯不通が重なる災害時の貴重な情報源です。なかなか普段使いをしない時代ですが、備えておきたい防災グッズです。
携帯バッテリー普段からスマホの予備電源として普段から携帯しておくと、外出時に被災したときも電池切れの心配が減ります。

この他にも、家族に乳幼児がいたり、介護中の人、あるいはペットがいれば、別途必要なものもあると思います。
電気、ガス、水道が使えなくても、最低3日できれば7日健康を害さず生活するには何が必要か、是非、自分たち家族に必要な備蓄リストを作成してみて下さい。

<管理組合応援団 団長>