管理組合は、ChatGPTを利用すべき?

コラム

世の中、ChatGPTの話題で持ちきりですね。
そのうち「マンション管理業界」でもChatGPTが話題になるときがくるでしょう。

コロナ禍において、理事会や総会においてオンライン会議の利用が普及していく速度を見ると、この手のものには、かなり動きが遅い業界だということわかりますので、盛り上がってくるのは少し先になるのかなと思います。

ところで、我らが「マンション管理組合応援団」は、管理組合の皆様が、検討すべき専門的な問題に直面した時に、役立つ情報をご提供するサイトを目指していますが、このサイトを見なくても、ChatGPTに質問した方が的確に回答が得られるようなら、このサイトでの情報発信は止めてChatGPTをお勧めすべきでしょう。

このサイトの今後の運営方針を考える上でも、現時点でAIがどこまで専門的な回答をしてくれるのか、調べてみることにしました。

管理組合の悩みをBingのチャットに相談してみたら、、、

マイクロソフトの「新しいBing」は、OpenAI社が開発したGPT-4の技術を利用してマイクロソフトが独自カスタマイズしたチャットサービスで、日々ネット上で更新される情報も参照して回答文を生成してくれるようなので、こちらで調べてみました。

【質問1】

マンションの漏水問題に対して、管理組合がとるべき対策について教えてください。

マンションの漏水問題に対して、管理組合がとるべき対策については、以下のようなものが考えられます

  • 漏水箇所の特定
  • 緊急処置
  • 賠償金や修繕費用に使える保険の確認
  • 今後加害者にならないためにできる対策

漏水箇所の特定は、迅速で正確な特定が必要です。緊急処置は、漏水箇所を塞ぐなどして、被害を最小限に抑えることが必要です。賠償金や修繕費用に使える保険は、管理組合が加入している保険によって異なりますので、確認が必要です。今後加害者にならないためにできる対策としては、お風呂やトイレの使用方法の周知徹底や、定期的な点検・メンテナンスが挙げられます。

「新しいBing」 で生成した回答(2023.4時点)

結構ちゃんとした回答文になってますよね、想像以上です。ただ、内容が無難すぎるのか、あまり印象に残らない文章に思えます。
人間の団長がこの質問に答えるとすると、質問者に何かを持って帰っていただくことを意識して、少し焦点を絞って以下のように回答すると思います。

まず直近数年で、どのくらいの頻度でどのような箇所で漏水事故が発生しているかを管理会社にヒアリングしてみてください。

専有部分の配管(枝管)の老朽化などが原因の事故が多ければ、専有部分が原因の漏水事故は、専有部分の区分所有者の責任であることを組合員に改めて周知して、各戸で点検や診断、そしてリフォームの申請があれば必ず配管の改修か更新を検討することを推奨しましょう。

また、専有部分が原因の漏水事故を管理組合が加入している保険(個人賠償責任保険特約)で補償する場合、保険申請の頻発は保険料の値上がり要因になることと、保険の補償範囲は被害住戸の損害までであり、加害住戸の配管の改修・更新や自室の復旧については、補償の対象外であることを改めて周知すると良いでしょう。

漏水事故の原因が不明もしくは共用部分にある場合は、配管の部材・仕様と経年を考慮した改修・更新工事について、管理会社や専門業者などと相談することをお勧めします。

マンション管理組合応援団 団長の回答例

【質問2】

マンションの管理組合が管理費滞納問題に対して取るべき対策を教えてください。

マンション管理組合が管理費滞納問題に対して取るべき対策について調べたところ、以下のような方法がありました。

  • マンション内のコミュニティを活発化して心理的に「管理費」を滞納しづらい環境をつくること
  • 滞納が起こらないよう、予防対策を行うこと
  • 滞納が発生した場合、滞納額が大きくならないうちに、早期に回収するよう心がけること
  • 口頭で支払いを促すことから始め、相手がどうしても応じない場合は法的措置による取り立てを検討すること

以上の方法があります。ご参考になれば幸いです。

「新しいBing」で生成した回答(2023.4時点)

やはり当たり障りのない無難な回答という印象ではないでしょうか。
団長なら以下のような回答にします。

管理費滞納対策は、できれば発生前から対策をとっておきたいものです。

まず、管理会社との委託契約を確認し、滞納が発生してからどの段階までを管理会社が担当し、どの段階から管理組合の責任で対応するのかをマニュアル化しておきましょう。

また、標準管理規約第60条(管理費等の徴収)にあるような、遅延損害金や弁護士費用などを含む諸費用を、滞納者に請求することが規約に定められていれば、それを周知しておき、理事会は粛々とマニュアル通りに手続きを進めることで心的負担は軽減されます。

遅延損害金や弁護士費用なども請求するのは厳しすぎるという印象をもつ人もいるかもしれませんが、返済の優先順位を上げる効果もありますので、できるだけ特別対応はしないことをお勧めします。

マンション管理組合応援団 団長の回答例

せっかくなので、昨今話題の管理計画認定制度についても聞いてみましょう。

【質問3】

管理計画認定制度は、どんな管理組合でも申請した方がよいのでしょうか?

マンション管理計画認定制度は、申請することをおすすめします。自治体の窓口に直接か郵送で申請する方法と、オンラインで申請する方法があります。
管理計画認定制度は、マンションの管理組合が、適切な管理計画を策定し、それを自治体が認定することで、マンションの資産価値を高めることができます。ただし、申請には手続きが必要であり、総会で決議し、その議事録も合わせて提出する必要があるようです。

「新しいBing」で生成した回答(2023.4時点)

この回答は、質問のポイントに正面から回答していないのと、文章のチョイスがあまり良くないですね。ちょっと安心しました(笑)
この質問については、団長の回答例は以下の通りです。

管理計画認定制度は、地方自治体が所轄の分譲マンションの管理状況について、良好な状態にあるものを認定する制度です。
一種の「お墨付き」のようなもので、将来的には認定の有無が、マンションの流通価格に影響する可能性があります。

認定を受ければ、そのマンションの購入者が利用するフラット35の金利が優遇されたり、管理組合も住宅金融支援機構から借り入れる際やマンションすまい・る債を購入する際に金利優遇を受けることができます。
また、認定を受けたマンションが、一定の要件を満たし、大規模修繕工事を実施すると翌年の固定資産税が減額される措置も発表されています。

正直これらのメリットは、「特筆するほどの魅力」とまでは言えません。ただ、この制度への申請(の検討)をきっかけに、管理組合の中で、長期的なマンションの維持管理に対する意識が向上することは間違いありませんので、その効果を考えると、どんなマンションでも申請を検討されることをお勧めします。

マンション管理組合応援団 団長の回答例

いかがでしたか?

あくまで団長の主観ではありますが、「新しいBing」の回答は、自然な文章が並んでいて、十分に使えるケースもありますね。ただし、現段階では、無難すぎて印象に残らない文章であるとか、質問に対して回答のポイントがずれてしまうこともあるようですね。

現時点では、AIと比較した時の人間の専門家の強みは、質問の短い文章から、関連情報や時世をもとに、質問者が真に聞きたいことを汲み取り、回答できることなのかなと思います。
AIの精度はこれからもっと良くなるでしょうから、半年後に上記と同じ質問をしたら、もっとその差は縮んでいるでしょう。

これからも、マンション管理組合応援団は、管理組合の皆様にお役に立てる情報発信を続けてまいりますが、それは結果的にAIに信頼の高い情報源として認識してもらえるサイトになっていくと思いますので、AIチャットの利便性や信頼性の向上に間接的に寄与できるのだと思います。
新しいBingでは、チャットの最後に参照サイトも表示されますから、そこにこのサイトのURLが表示されればユーザーの利用拡大が期待できます。逆に表示されなけば、AIの回答とは一味違う情報を提供できているともいえますので、今後どのように影響してくるか楽しみに見守ることにいたします。

<管理組合応援団 団長>