購入前に「管理状況」を知ろう(1)

マンション購入の前に

中古マンションの購入を検討する時には、築年数、立地、広さ、間取り、採光、設備や建具のグレードなど、入念にハード面をチェックし、吟味していると思います。

でも、管理状況についてどれくらい調べていらっしゃるでしょうか?
もし、この記事をお読みいただいているのが、現役理事の方でしたら、自分達のマンションンは外部からこんなところが、注目されているのだということを知ってもらえたら理事会運営の参考になると思います。

マンションは一つ屋根の下、共通のルールのもとに沢山の人が暮らしています。
そして、10年も経つと、そのマンションの性格が形成されてきます。
ハード面が似通った物件でも、管理状況やコミュニティ活動は全然違うことも不思議ではありません。

住民の性格や価値観から、タイプ別にグループに分けられ、築10年にもなれば、一度や二度はグループ間で意見の対立を経験するでしょう。そうして何回か綱引きがありながら、落ち着くところに落ち着いてきます。

財政、修繕、管理、理事会運営、住民コミュニティの5つの分野で特徴がでてきますので、購入前に調べておきましょう。

1.財政面を知る

不動産会社経由で、長期修繕計画を入手してください。長期修繕計画は、将来の計画修繕と修繕積立金が計画されているものですが、その数値が適切かどうかは、不動産会社の人でもわかる人は少ないでしょう。
でも素人でもチェックできることがあります。

  • 長期修繕計画があるかないか
  • 長期修繕計画が7年以内に更新されているか
  • 将来、修繕積立金に一時金の徴収が計画されているか
  • 将来の修繕積立金の徴収額が許容できる金額か

といった項目です。長期修繕計画が標準的に整備されるようになったのは、2000年に入ってからですので、築30年以上で小規模のマンションなどでは、長期修繕計画が「ない」ところも存在しています。

そのようなマンションは、購入した後に高額な一時金が徴収されることになったり、大規模な修繕が次々に必要になるリスクがあります。
もしその他の面で気に入ったとしたら、修繕履歴の確認や専門家に目視でわかる限り劣化状況を確認してもらい、購入前にリスクをできるだけ小さくしましょう。

そして、長期修繕計画はあればよいというわけではなく、新築時にデベロッパーが作成した計画が7年経っても更新されていないようなら要注意です。住民が管理会社に全てをお任せにして、管理についてほぼ無関心になってしまっている可能性があります。
また、将来の一時金の計画や高額な修繕積立金になる計画というものは、財政問題を先送りしていることを示していますので、今後なんらかのアクションが必要になる可能性が高いと言えるでしょう。

2.修繕面を知る

今後の計画は、長期修繕計画で確認できますので、これまでにどんなスケジュールで大規模修繕をしてきたか、をヒアリングしましょう。外壁や屋上防水、共用廊下の修繕、鉄部塗装などは、10~20年に1度は修繕工事を実施していると思いますが、エレベーター、住戸のアルミサッシや玄関扉、排水竪管の更新(=取替)などは、大きな金額が必要ですが、50年に一度あるかどうかなので、築年数の古いマンションなどは修繕計画に入っていないこともあります。排水竪管は外からはわかりませんが、その他の設備は、素人でもある程度目視で劣化状況がイメージできると思います。更新が必要だけど、そのための資金がないようなら、そのマンションは今後劣化がどんどん進んでいく可能性がありますので、注意が必要です。
このサイトをご覧になっている方でしたら、外壁タイルが崩れ落ちそうでも修繕する様子がないマンションを購入しようとする人はいないと思いますが、マンションの壁やタイルなどが崩落して人身事故につながった場合は、管理組合つまり区分所有者全員が加害者となることをしっかり頭に入れておきましょう。

3.管理面を知る

理事会や住民のマンション管理に対する関心の高さと、管理状況は正比例の関係にあることは、想像できると思いますが、購入前にそれをチェックすることができるのでしょうか?

関心の高さは、総会の出席率にあらわれます。総会の議事録を直近3期分ほど確認して、出席率を見てみましょう。委任状を含めた出席率が安定的に全体の4分の3を超えていることがひとつの目安です。

マンションの総会は、半数以上の出席で成立し、多くの議案は「普通決議」で、出席者の過半数で承認されます。
しかし、重要な議案は「特別決議」とされ、組合員総数と議決権総数の4分の3以上の賛成が必要になります。そもそも総会の出席率が安定的に4分の3を超えていないと、出席者の全員が賛成でも、重要な議案は決議できないことになります。

そして、関心の高さは、総会議案の内容からも予想することができます。
直近3期の総会の議案が、以下の定例議案のみだった場合は、理事会であまり活発な議論がなされていない可能性があります。

  • 第〇期 事業報告および収支決算
  • 管理委託契約の更新 or 新規契約
  • 第△期 事業計画案および収支予算案
  • 第△期 役員選任

ごみの集積所、共用廊下の住民の使い方、自転車置き場の状況、掲示板の掲示物などを見れば、管理状況の一端を確認することができますが、管理会社に委託しているマンションであれば、そのあたりで不合格になるところは少ないでしょう。

長くなってしまったので、続きは次の記事で。

<管理組合応援団 団長>