長期修繕計画って見直すものなの?

100年価値を保つには

長期修繕計画は、見直してこそ価値があります。
長期の計画なのだから、頻繁に見直すものではないのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが、新築時の長期修繕計画は「参考案」くらいのものであると考えていただいた方がよいでしょう。

デベロッパーにとって、新築時に長期修繕計画を策定する意味は何でしょうか?
瑕疵担保責任またはアフターサービスによる修繕を除けば、マンションを販売した後は、どのように管理するか、いつどのように修繕するか、いつ建替えするか、決める主体は管理組合なので、デベロッパーが関与することはありません。
ではなぜ長期修繕計画をデベロッパーが設定するのかといえば、販売時の修繕積立金の根拠を示すためです。デベロッパーが作成する長期修繕計画の1回目の大規模修繕工事の多くは12年後に設定されていますが、この1回目の大規模修繕工事の費用を賄えるような積立金額に設定しているのです。
大規模修繕工事は、1回目よりも2回目、3回目の方が修繕規模が大きくなり高額になるので、多くの場合、段階的に修繕積立金を値上げする計画となっているのです。

長期修繕計画よりも修繕費用が膨らんだら?

長期修繕計画は、あくまで「計画」ですので、実際にそれを上回る修繕費になるケースは多々あります。平成30年のマンション総合調査によれば、積立額が計画に比して余剰していると回答したマンションは3割強しかありません。積立不足が判明したら、管理組合は修繕積立金の値上げ、管理費削減、もしくは一時金を徴収することになりますが、デベロッパーには何の責任もありません。

修繕工事に係る人件費や材料費が上昇すれば、計画よりも費用が膨らむのは致し方ありませんし、将来の消費税の値上も計画には織り込めません。
さらにはマンションの修繕工事は個別性が高く、その費用は統計データを見てもかなりバラつきがあることから、将来の工事に必要な「標準的な単価」をなかなか出せないという事情もあります。デベロッパーが設定した初期の長期修繕計画は、かなり緩く作成されていると考えるべきでしょう。

そうした背景から、長期修繕計画は5年毎に見直しをすることが推奨されていますが、定期的な見直しの他、大規模修繕の後に見直すこともお勧めします。

昨今は建築資材の耐久性が上がっていることから、当初計画よりも修繕のタイミングを遅らせることのできる項目も多くあると思います。そして、大規模修繕を実施すれば、そのマンションにおける実際の工費がわかりますので、次の大規模修繕の計画の精度をグッと高めることができるのです。

修繕積立金は段階的に値上げしていくもの?

デベロッパーに責任があるとすると、国土交通省がかなり前から修繕積立金の積立方法は「均等積立方式」を推奨してきたにもかかわらず、販売時に区分所有者のランニングコストが低く見える「段階積上方式」を、いまだに初期設定にして販売していることでしょう。

大規模修繕工事は、3回やってようやく一通りの設備を更新するようなサイクルになるケースが多いと思いますが、一通りの設備を更新するのに必要な額を、計画期間で均等に割ったものが均等積立方式になります。
段階積上方式は3回、4回と値上げをしていきますが、最後の値上は非常に高額になります。修繕積立金の値上げについては、当初から計画されていたとしても、区分所有者の生活費に直結しますので、値上げの度に合意形成に苦労することになります。
中には、値上げに反対する声が強く合意形成ができぬまま、必要な修繕工事が先送りされ、管理不全マンションへの道を進んでしまっているケースもありますので、できるだけ築年数の浅い段階で、均等積立方式へ転換しておくことをお勧めします。

3-40代の働き盛りに購入したマンションが、30年後世帯の収入が大きく落ちた頃にランニングコストが高額となり、泣く泣く出ていかなければならない区分所有者も出てくることでしょう。ランニングコストが高いマンションは、自己の居住用で購入する対象になりにくく、法人か賃貸経営者が購入層の中心となりますので、価格を下げないと売れなくなるという悪循環に陥ります。

一通りの設備を更新することのできる修繕費がわかれば、30年後も50年後も同水準のランニングコストを見通すことができます。そうしたマンションは、中古でも永住目的で購入する人たちがいて、住民の世代交代も自然に進んでいき、100年価値を保つマンションになっていくのではないでしょうか。

設備をすべて更新するのはいつ頃?

長期修繕計画は、30年程度で作成されていることが一般的です。しかし、設備によっては、更新時期は30年を超えるものもあります。
計画期間に、むりやり更新工事を入れ込み、その収支を合わせるために修繕積立金が高額になってしまっている計画をよく見ることがあります。
団長としては長期修繕計画は50~60年で作成することをお勧めします。
お手元の計画には「エレベーターの更新」、「機械式駐車場の更新」、「排水管設備の更新」、「窓サッシの更新」、「玄関ドアの更新」などは、入っていますでしょうか?これらは、30年を超える耐久性があり、長期修繕計画に入っていないこともあります。これらの設備だけでなく、修繕の対象となる全ての項目について劣化診断を行い、不必要な修繕工事を極力なくし、適切な時期に計画し直すことが、修繕積立金の上昇を防ぎ、超長期を見通した修繕のサイクルを安定的に回していくことができると思います。

「長期修繕計画は見直しが大切」ということを是非覚えておいていただきたいと思います。

<管理組合応援団 団長>

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