管理会社、今のままでいい?

トラブル対処法

管理会社(フロントマン)の日ごろの対応に、不満を感じ始めたら、、、

現在の管理会社との契約が長い場合、他社に変えた場合の影響がどうなるのか、不安なのでそのまま我慢する、という管理組合も多いと思います。何社もの管理会社の特徴やサービス品質を知っている理事の方は、非常に少ないと思いますが、理事ご自身の感覚として首をかしげたくなるような対応をフロントマンが平気でしているようでしたら、黙認よりも行動した方がよいでしょう。

管理理委託契約の見直し、何から始める?

普段は、わからないことは何でも管理会社に相談すると思いますが、管理会社との契約を見直そうとした場合、どこに相談すべきでしょうか。

まずは、マンション管理士への相談をお勧めします。初回は無料で相談を受ける事務所もありますし、マンション管理センターや、自治体でもマンション管理士に無料相談を受けられる機会を設けている場合がありますので、調べてみましょう。

そこで、基礎的な助言がもらえると思います。相談をする際には、不満に感じるフロントマンの対応について、日付と内容を記録したものがあるとよいです。客観的な記録があると、印象や一時的な感情で相談にきているのではないことがわかりますし、管理会社と交渉する際の貴重な資料となります。

ひと昔前ですと、すぐに管理会社変更(=リプレース)を前提に検討を始めることが多かったと思いますが、最近はリプレースは最終手段で、まずは管理会社との交渉をじっくりやりましょう。

管理会社との交渉相手は、フロントマン本人?それとも上司(会社)?

ケースバイケースになります。大規模のマンションですと、定時総会で選任された理事に、フロントマンが上司とともに挨拶に来ることもあると思います。会社側の都合によるフロントマンの担当替えも多いので、その際にも上司が挨拶にくることがあります。もし上司の連絡先がわかれば、まずその上司に連絡をとり、事情を説明して改善を求めることになります。

個々の管理会社によって対応は違いますが、一般的に大手デベロッパー系やゼネコン・ハウスメーカー系の管理会社は、指揮命令系統が機能していて、上司にクレームすれば相応の対応が期待できますが、独立系の管理会社ですと、フロントマンの裁量が比較的大きいので、上司にクレームしても効果が得られない場合もあると思います。

クレームによって、関係が悪くなることはある?

クレームされたフロントマンの気分を害することは、ある程度覚悟しなければなりません。それでも、何も交渉しないのは、管理組合がその状態を容認していることになりますので、客観的に改善を要求すべき状況であれば、交渉すべきでしょう。フロントマンは一人で10以上も管理組合の担当を持たせられている場合も多く、おとなしい管理組合にはあまり時間を割かない傾向になりがちですので、良い緊張感を保つためにも管理組合の期待する水準を示して、守られない場合はしっかりと要求すべきでしょう。

ここで気をつけるべきことは、既に管理組合からの要求が過剰で、それを管理会社側で問題視していて「撤退」候補先になっている場合です。最近は、人件費の上昇により、管理会社業界の利益率は下落傾向にありますので、割に合わない契約は、管理会社の方からリプレースをされること覚悟で値上げを要求して来ることも珍しくなくなりました。

交渉の主導権を管理会社に握られてしまうと、管理組合はとても大変です。短期間に自力でリプレース先を見つけて交渉をしなければなりません。検討に十分な時間がとれず、結果として以前よりも悪い条件で新たな契約を結ばざるを得なくなり、総会でも住民の不満の矢面に立たされ、その時の理事のメンバーは、本当に苦労することになります。

そうした事態を避けるためにも、現在の契約内容が客観的に見てどうなのか、普段から専門家に意見を聞いておくことをお勧めします。できればリプレース候補となり得る管理会社をリサーチしておき、彼らのスタンスを把握しておくのが理想です。

リプレースまでの手続きは?

交渉しても改善が見られず、リプレースが妥当だと判断した場合は、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。

通常理事会には、フロントマンや管理員が同席をしていると思いますので、この件については、管理会社抜きで臨時の理事会を開催します。有料で専門家に相談する場合は、管理会社に支払い手続きを依頼しなければならないので、ある程度理事会の方針が固まるまで報酬の請求を待ってもらいましょう。

最終的にリプレースもやむなしとなったら、専門家にリプレース候補先を紹介してもらい、概算見積もり、事前打ち合わせなどをアレンジしてもらいます。概算見積もりが想定範囲内であれば、臨時総会の議案準備を始めます。並行してフロントマン本人もしくはフロントマンの上司に対して改善要求を伝え、改善が見込めなければリプレースを検討することも伝えます。

管理会社の変更は、管理組合の事業年度に合わせた方が都合がよいので、余裕をもって半年前くらいまでに管理会社に改善要求を伝えられたらよいでしょう。そして期日を示して回答をもらい、改善が見込めない場合は、管理会社との契約を更新しない方針を決議するために臨時総会を招集します。フロントマンへの不満は、役員経験者は理解していますが、それ以外の住民の皆さんは、初めて聞く話かもしれませんので、招集通知にこれまでの経緯を丁寧に説明する必要があります。
そして、現在の管理会社との契約を更新しない方針と、新しい管理会社の最終選定を理事会に一任してもらう決議をします。
臨時総会の決議がなされたら、契約中の管理会社へ期日の3ヵ月前までに通知します。
そして、理事会にて新しい委託先を内定し、住民向け説明会を開催した上で新規の契約を結びます。

この段取りは、最もスムーズに手続きを進められた場合であって、実際にはさまざまな障害によって、最終的に2年くらい要することも珍しくありません。
管理組合もこの手続きには心身ともに疲弊しますし、管理会社もリプレースは避けたいと考えるのが普通ですので、関係が大きく悪化する前に、管理会社に改善努力をしてもらう交渉をねばり強くすることをお勧めします。

<管理組合応援団 団長>