皆さんが現在お住まいのマンションの多くは、新耐震基準で建設されたものか、旧耐震基準でも、必要な耐震補強がなされていると思います。
そうであれば、震度6強~7の大地震が起きた時でも、建物は倒壊しないという前提に立ち、次に命を守るうえで大事なことは、家具の転倒による圧死を防ぐことです。特にマンションの高層階は、大きく揺れるので家具転倒の危険性が高いのです。
リビングや寝室、キッチンなど普段いることの多い部屋を見回して、「この棚が倒れてきたら」「このテレビが倒れてきたら」「この冷蔵庫が倒れてきたら」、と想像してみてください。
転倒防止対策をしていない大型家具や大型家電は、大地震では「全て倒れる」と考えて、対策を考えましょう。
転倒防止対策はどんなものがある?
家具の転倒防止は、上で揺れを抑え、下でズレを抑えるための対策があります。
取付位置 | タイプ | 価格 | 特徴 |
上部 | L字金具 | ◎ | 最も安価で、最も強力に固定される。 家具と壁に直接穴を開けてビスを打つので、家具の移設を考えない場所に適している。 |
上部 | ワイヤー金具 | 〇 | 家具と壁に直接穴を開けてビスを打つが、ワイヤーでつなぐので、L字金具よりは多少家具の移設がしやすい。 壁と家具が接着していないので、ワイヤーの長さの分家具が動く。 |
上部 | 突っ張り棒(ジャッキ) | △ | 背の高い家具を、天井で突っ張って揺れを抑える。 設置に家具や壁を傷つけないが、器具自体が大きいので見た目は良くない。 |
上部(側部) | 粘着テープ(パッド) | △ | 粘着テープで家具と壁を固定する。L字タイプとベルトタイプがある。他に比べて値段が高め。 |
下部 | ズレ防止プレート(テープ) | 〇 | 家具の手前に挟み込むタイプで設置が容易。家具が少し壁側に傾く。上部の対策の補助的役目。 |
下部 | ゲルパッド | 〇 | 底面の四方に貼り付ける。挟み込むタイプよりも設置が大変だが、家具の傾きはない。上部の対策の補助的役目。 |
L字金具以外は、上部だけでなく、下部の対策もセットで設置することをお勧めします。また、L字金具やワイヤー金具を設置する場所は、壁裏センサーなどで、下地材がしっかり入っている場所を見つけて設置しましょう。
命の危険のある大きな家具の転倒対策ができたら、次はケガの防止です。
モノが落ちたり、ガラスが割れると危険
キッチンやリビングの食器棚を確認してみてください。
造り付けの食器棚や、転倒防止対策をしっかりしている食器棚でも、扉が開いて中の食器が飛び出して来たら危険ですよね?
扉がガラス製の場合は、衝撃で割れる可能性があります。
食器棚には、耐震ラッチがお勧めです。常にロックするような器具を付けてしまうと、普段の使い勝手が悪くなり、結局はずしてしまうことも多いので、多少値段は高いのですが、耐震ラッチを付けることをお勧めします。
ガラスの扉は、飛散防止フィルムを貼ると割れにくくなりますし、割れた時も破片が飛び散らないので、お勧めです。
窓ガラスは、もちろん飛散防止フィルムがあった方が望ましいのですが、費用対効果の面で、選択的にならざるを得ないかもしれません。
そして、テレビも構造上不安定かつ重量があるので、倒れてきたときに危険です。
転倒防止ベルトなど、専用の転倒防止グッズが販売されていますので、しっかり固定しておきましょう。また、キャスター付きの家具は、特に高層階では、大きな横揺れによって室内で暴れまわる凶器となりますので、キャスターホルダーやベルトなどでしっかりと固定することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?今回は、管理組合向けではなく、マンションにお住いの皆様に向けて、大地震に備えて身を守る対策の話を書きました。
マンションの防災訓練や総会などの機会に、こうした各住戸での対策を理事の皆様からご案内されると、マンション全体の防災意識の向上につながると思います。
<管理組合応援団 団長>