理事長って、そんなに偉いの?

新任理事の心得

とっても偉いと思います。

理事長の仕事は役員の中で最もハードです。

管理会社のフロントマンや、管理員が日ごろ相談、報告する相手は理事長です。
理事会も総会も理事長が主導します。
共有部分に問題が起きたり、住民間のトラブルの仲裁、自治体や行政とのやり取りも、まず理事長が対応することになるでしょう。
万一訴訟や調停などあれば、理事長が区分所有者を代理して法廷に立たなければなりません。

そんな苦労を一手に引き受ける理事長は、「偉い」ですよね。

理事長は、普段どんな業務をしているの?

理事長はほぼ全ての書類に目を通して決裁(押印)します。

マンション住民からの様々な申請書の承認、管理に必要な業者との契約など管理会社は、書類を準備し作成もしてくれますが、ハンコを押すのは理事長ですから、書類に不備があったら、責任は理事長ということになります。

管理会社のフロントマンや管理員は、理事長はある意味では直属の上司、またある意味では大切な取引先、ということで、彼らから理事長は奉られることになるのです。

彼らとのやり取りをみた人は、理事長って偉いんだなぁ、という印象を持つのではないでしょうか。
でも、理事長がハンコを押している書類は、ほとんど決められた予算の執行のための書類だったり、住民の様々な申請の承認印だったりなので、「判断」をしているというより「最終チェック」といった表現が合うかもしれません。

理事長の権限で、できることは?

主に、総会の承認を待たずに、迅速にアクションを起こした方がいいことについて、理事長が理事会の承認を得て判断できることがあります。

  • 管理費等の滞納に対して、訴訟その他の法的措置をとること
  • マンション内で共同生活の秩序を乱す行為をした者に対して、勧告・指示・警告をすること
  • マンション内で不法行為を行った者に対して、行為の差し止め請求、原状回復請求、損害賠償請求など法的措置をとること
  • 専有部分の修繕・模様替え工事、窓ガラス等開口部の改良工事の承認および不承認
  • マンション敷地または共有部分の保存行為、つまり必要な補修工事など
    (ただし、災害時など緊急を要する場合は、理事会の承認なしに理事長が単独で保存行為を実施できます)

などがあります。その他、管理組合を代理する行為や細則で定められた職務など、こまごまとした「受け身」の業務があります。

ここまで読まれた方は、理事長の仕事が魅力的に思えないかもしれません。しかし、理事長こそ最も前向きなアクションを起こせる立場でもあるのです。

理事長や理事会が、何か前向きに新しいことをやりたいと考えた場合、次の総会に向けて準備し、必要であれば住民向け説明会なども実施し、議案が承認されるように働きかける、というプロセスになります。

実際の総会では「理事長に一任する委任状」と、「事前投票」によって、普通決議であれば総会前に賛成多数になっているケースが多くありますので、住民の大多数にとってプラスなことは大抵承認されると考えて、理事会で議論を重ねてたくさんの議案を総会に諮っていただきたいと思います。

定時総会は年に一回ですが、緊急性があるものは、臨時総会という手があります。理事長は、臨時総会を開催する権限がありますが、マンション住民の皆さんの時間を臨時に確保していただく話ですから、緊急性と重大性を慎重に判断をしていただいた方がよいですね。

多くのマンションは理事の任期は1年となっていますので、自分たちで一生懸命考えて検討して、住民の理解も得て総会で承認を得たものを実行するのは次の理事会ということになります。実行まで責任を持ちたい、という前向きな人たちが沢山いらっしゃるマンションでは、任期を2年にして、毎年半数が交代する方法に規約を変更しているところもありますね。

つまるところ、理事長のメリットって何?

そんなハードな業務に対して、金銭的な見返りはほとんどありません。マンションによっては、月々数千円~数万円の報酬を出しているところもあると思いますが、業務量や役割に見合った報酬水準からは程遠いと思います。

金銭的報酬はありませんが、理事長の仕事は立派な地域貢献だと思います。業務をこなすだけでも大変な仕事ですが、自分の働きによって住民生活のクォリティや、マンションの資産価値を保つ、更には高めることができれば、大きなやりがいや達成感を得られるのではないでしょうか。

長期修繕計画をしっかり立てる、マンション住民にとって価値あるサービスを取り入れる、マンションで起こるトラブルに適切に対応する、災害に備える、コミュニティーを良好に保つ、これらは全てマンションの価値を高めることにつながります。そこにやりがいを感じて、積極的に活動をされている素晴らしい理事長もたくさんいらっしゃいます。

そうした理事長がひとりでも増えるよう応援していきたいと考えています。

<管理組合応援団 団長>

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