理事長以外の役員はどんな役割があるの?

新任理事の心得

理事長の他の役割としては、副理事長と会計、そして監事が管理規約に記載があると思います。

ここでは、まず監事について説明します。

監事の役割は?

監事の「仕事量」は、役員の中ではそれほど多くはないのですが、「役割」としては理事長並みに重要です。

プロセスの違いに気が付く人はあまりいませんが、監事は理事の中から選ぶのではなく、総会で選任します。理事長も含め、理事の中での役割は理事会で話し合って決めるのと比較すると、最初から重みが違うのですよね。

監事は、理事の人たちが正しく業務をしているか、きちんと会計がなされているかをチェックする役割があります。会社で言えば、監査役のような存在ですね。

そして、監事の最も象徴的な権限でもあり責任でもあることとして、臨時総会を招集する権限があるのです。

これは、ある意味理事長を超える権限といってもよいと思います。理事長も臨時総会の開催には理事会の承認が必要ですし、一般の組合員が臨時総会を開催しようとする場合は、全組合員数(と全議決権数)の5分の1の賛同が必要になります。たった一人の判断で臨時総会を開催できるのは、監事だけなのです。

この伝家の宝刀を使うケースは、「管理組合の業務に不正があると認めた時」ですので、めったにありませんが、「仕事量が少なそうだから」と監事を引き受けようとしている方は、万一の時には非常に重要な責任のある役割だということは、しっかり認識しておいていただきたいと思います。

総会の監査報告で、監事が「理事会は適切に運営され、不正はないものと認めます。会計報告書類は、収支および財産の状況を正しく示していると認めます。」などと、お決まりの文章を読み上げる時、実感を込めて読んでいるか、ただ渡された文章を何も考えずに読み上げているか、意外に聞いている方はわかるものです。

副理事長と会計担当の役割は?

次に、ほとんどの管理規約に登場する役割として、副理事長と会計担当があります。

どちらもその名称の通りで、副理事長は理事長を補佐し、理事長に万一のことがあったら、その役割を代行します。会計担当は、規約には「管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う」とありますが、それらの実務は理事長と管理会社で完結することも多いので、たまに理事会用の飲み物などで小口現金のやり取りが必要になった時だけ仕事をした、などという会計担当の理事も少なくないと思います。

会計担当の方に是非担っていただきたい業務は、管理費等の滞納への対応と、総会における会計報告と予算案の説明です。どちらも理事長が担当しているケースが多いのですが、理事長の負担を少しでも軽減するためにも、初回の理事会で、会計担当の役割として明確にされることをお勧めします。

防災担当など、他に分担すべき役割はある?

規約などでは明記されていませんが、現実的には防災担当の重要性はとても大きいです。

消防法の定めでは、収容人員が50人以上(複合型マンションでは30人以上)のマンションでは、防火管理者を選任し管轄の消防署に届出が必要です。組合員に防火管理者の資格を取得してもらい、消防計画を作成し、年に1回避難訓練を実施します。

防火管理者は理事でなくても選任できます。資格取得にそれなりの手間もあることから、一度防火管理者になった方にずっとお願いしている、というケースもあると思います。
もっと言ってしまうと、組合員でなくても選任できるので、防火管理者の資格を保有している知り合いに頼んで、名義を借りて届出だけしているケースもあるようですが、脱法行為はよくないというだけではなく、実効性がなくなる行為は避けるべきだと思います。
義務だから選任するのではなく、防災はどんなマンションでも重要な課題ですので、組合員が積極的に参加して防災について考え、組織として継続的に取り組んでいく仕組みが理想ですね。

理事会の他に、専門の分野を担当する組織をつるくことはできる?

はい。理事会の下部組織として特定の課題を調査、検討等をする専門委員会を設置することができます。予算措置が必要でなければ、理事会で設置を決議することができます。

マンションの規模が大きくなると、理事会があらゆる方面から相談をもちかけられ、それら全てを月に1度の理事会で検討するのは困難になってきます。そうしたケースでは、専門委員会を設置して、理事会とは別に集中して検討してもらい、理事会に具申してもらいます。規約上は、決定するのはあくまで理事会となっているはずですので、専門委員会を設置する場合は、あらかじめその役割を明確にしておくことをお勧めします。

どんな専門委員会がある?

大規模修繕工事に向けて設置されることの多い、修繕委員会。防災管理者の役割を含め、マンションの防災全般を担当する防災委員会。共用施設が多いマンションでは共用施設の管理運営を担当する共用施設委員会。イベントやサークル活動などでマンション内のコミュニティ活動をサポートするコミュニティ委員会などは、よく設置されているケースを耳にします。

理事は1年もしくは2年交代で入れ替わることが多いと思いますが、専門委員会は任期は設けないケースが多いので、継続的に検討を積み重ねることによって課題への対応がブラッシュアップされていきます。
特に修繕委員会は、大規模修繕に関心が高い方や建築/設計/工事などに詳しい方に参加してもらい、同じメンバーが時には専門家の力を借りるなどして、数年間かけて取り組まれることをお勧めします。

<管理組合応援団 団長>