管理会社へのカスハラに要注意!

コラム

昔から管理組合の理事や組合員が管理会社の管理員やフロントに対して暴言を吐くといった話は、よく耳にします。そうした行為を他の組合員や役員は見て見ぬふりをしてきた管理組合も多いのではないでしょうか。

この10年程度でしょうか、この行為は「カスタマーハラスメント」と名付けられ、社会的にも許されない行為として認識されるようになりました。いまだにハラスメント行為をしている人は、その変化に気が付いていないのでしょう。

2023年9月、国土交通省が公表しているマンション標準管理委託契約の改訂があり、管理会社が中止要求できる組合員等による有害行為に、「カスタマーハラスメントに該当する行為を含む」と明記されました。

これまでは黙って耐えていた管理会社も、度が過ぎる行為には社員を守るために毅然とした対応をとるようになるでしょう。

カスハラの定義

いわゆるカスタマーハラスメントは、厚生労働省によると「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。

これを管理組合と管理会社の関係の中で具体的な行為として例示するなら、管理組合員等が管理業者の使用人等に対し、本契約に定めのない行為や法令、管理規約、使用細則又は総会決議等に違反する行為を強要すること、侮辱や人格を否定する発言をすること、文書の掲示や投稿、インターネットへの投稿等による誹謗中傷を行うこと、執拗なつきまといや長時間の拘束を行うこと、執拗な架電、文章等による連絡を行うこと、緊急でもないにもかかわらず休日や深夜に呼び出しを行うことなどが含まれます。

皆様の管理組合では、このような行為はないでしょうか。
役員の方々はしっかり認識されていても、そのマンションの区分所有者のひとりが、そのような行為をすれば、それは「管理組合によるカスハラ」になります。

管理会社をパートナーに

そんなに難しいことは要求していない、例えば、質問に対して1ヵ月以上も回答がないとか、過去の慣習や会社のやり方にしばられて融通がきかない等、理事にとっては不満がつのる状況だったとしても、ハラスメントになるような強い言葉で指示をしたり、叱責してはいけません。

管理委託契約や重要事項説明書を見返して、契約に含まれる業務を怠っていた場合は、契約にもとづいて適切な請求をすべきです。しかし、多くの不満は「対応が遅い」「新しい取り組みに後ろ向き」「融通が利かない」「いつも受け身の姿勢」といった態度や姿勢に対する不満が多く、これらはフロント担当の資質の問題であったり、抱えている仕事量に関係するもので、明確な契約違反ではないケースがほとんどだと思います。

昔は、管理組合と管理委託契約を継続していれば、管理会社は安定した利益が見込め、管理組合から多少筋違いの要求があってもぐっとこらえることもあったと思いますが、昨今、管理委託業務の収益性が下がってきたこともあり、管理会社も余裕がなくなってきました。
カスハラによって、自社の従業員が傷つけられ、メンタル不調になったり退職に追い込まれたりしたら、会社にとって大きな損失ですから、管理会社もカスハラに対して毅然とした姿勢で対応するようになってきました。

予定外に管理会社から契約解除を宣告された時は、管理組合は本当に大変です。突然大変な時間と労力をかけて、新しい管理会社を見つけなければなりません。十分な準備や議論をする余裕がない管理組合は、合意形成も不十分なまま、満足できない契約となることも多いでしょう。

そうなると、管理会社と管理組合の双方にとって不幸ですから、もしマンションの誰かがカスハラと疑われるような行為をしていたら、管理組合自身がそれを止めなければいけません。
管理組合は管理会社をパートナーとしてリスペクトし、両者が「マンションを良くする」という共通の目標に向かって行動する、そんな関係を目指したいですね。

<管理組合応援団 団長>

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